今回は、雇用調整助成金といったコロナ救済的な助成金以外で、比較的活用しやすく、かつ多くの企業で利用されている助成金を紹介します。
それは、『キャリアアップ助成金・正社員化コース』です。
パート社員や派遣社員といった非正規社員を正規社員に転換させたうえで、賃上げを行った事業者へ助成される制度です。
就業規則等の改定は必要ですが、比較的手続きが定型化されており、申請に向けての難易度は高くないかと思います。
助成金を初めて活用する事業者であれば最初に活用を検討するような助成金だと言えます。

  •  ●支給適用の条件・概要
  •  ●受給への手続き・流れ
  •  ●支給額
  •  ●その他

 

支給適用の条件・概要

建設キャリアアップシステムとは? | 建設業許可申請サポート湘南

キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは就業規則等に規定した制度に基づいて、有期契約労働者等の非正規社員を正規雇用労働者等に転換・直接雇用した場合に助成される制度です。
以前のキャリアアップ助成金は、「正社員化コース」「人材育成コース」「処遇改善コース」と3つだったコースが、平成29年4月より8つのコースに拡充され、正社員化コースにおいては、助成金の金額も大幅に増額されました。
正社員化コースの具体的な取り組みとして以下の内容が考えられます。

●有期契約労働者を無期雇用労働者に切り替える
●有期契約労働者を正規雇用労働者に切り替える
●無期雇用労働者を正規雇用労働者に切り替える

働く従業員の意欲や能力向上、また事業の生産性を高めて優秀な人材を確保することを目的としています。

なお対象の労働者の条件は以下のようになっています。
●支給対象となる事業主に通算して6ヶ月以上雇用されている有期契約労働者
●支給対象となる事業主に6ヶ月以上雇用されている無期雇用労働者
●6ヶ月以上継続して同一の業務に従事している派遣労働者
●支給対象となる事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、それを修了した有期契約労働者等・正規雇用労働者として雇用することが約束されて雇用された有期契約労働者等でないこと

また、取り組みをする事業者は以下の要件が必要となります。

(1)有期契約労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度を就業規則等に規定している事業主であること

(2)上記(1)の規定に基づいて、雇用する有期契約労働者を正規雇用労働者もしくは無期雇用労働者に転換した、または無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した事業主であること

(3)上記(2)により転換後6ヶ月以上継続して雇用し、当該労働者に対して転換後に6ヶ月分の賃金を支給した事業主であること

(4)多様な正社員への転換の場合では、上記1.の制度の規定に基づき転換した日において、対象労働者以外に多様な正社員を除く正規雇用労働者を雇用していた事業主であること

(5)支給申請日に当該制度を継続して運用している事業主であること

(6)転換前の基本給よりも5%以上昇給させた事業主であること

(7)転換日前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った事業所で、雇用保険被保険者を解雇等の事業主側の都合により離職させた事業主以外の者であること

(8)転換日前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った事業所において、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者となる離職理由のなかで離職区分1A、または3Aに区分される離職理由により離職した者として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該転換があった日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること

(9)上記(1)の制度を含めて、雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること

(10)正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降について、当該者を雇用保険の被保険者として適用させている事業主であること

(11)正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降について、当該者を社会保険の被保険者として適用させている事業主であること

(12)母子家庭の母等または父子家庭の父の転換に係る支給額の適用を受ける場合は、当該転換日に母子家庭の母等または父子家庭の父の有期契約労働者等を転換した事業主であること

(13)若者雇用促進法に基づく認定事業主についての35歳未満の者の転換に係る支給額の適用を受ける場合には、当該転換日より前に若者雇用促進法第15条の認定を受けていて、当該転換日において35歳未満の有期契約労働者等を転換した者である。また、支給申請日においても引き続き若者雇用促進法に基づく認定事業主であること

(14)勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度に係る加算の適用を受ける場合には、キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度を新たに規定し、有期契約労働者等を当該雇用区分に転換した事業主であること

(15)生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合には、当該生産性要件を満たした事業主であること

特に(5)の転換後の6%昇給は要注意の要件です。

 

受給への手続き・流れ

誰でも分かるキャリアアップ助成金(正社員化コース)注意点と申請方法 ...

まずは、事前にキャリアアップ計画を作成することが必要です。
こちらに関しては、各都道府県の労働局に公開されている規定書式に記入例に従って作成することができるので思った以上に難しくないかと思います。
そして、正社員転換の内容や諸条件などを就業規則に追記したうえで、キャリアっプ計画とともに事前に申請し、認可を受ける必要があります。

まれに、労働局から認可を受けるまでに時間がかかることがあることが注意点です。

そこから、計画通りに正規社員への転換を昇給と共に行い、6か月間昇給した賃金を支給した後に助成金の申請をする流れです。

 

支給額

キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 上岡ひとみ経営労務研究所

上記の表のように各要件に従って助成金が支給されます。
1年度に最大15人まで支給されるので、中小企業で有機から正規社員に転換すれば最大855万円(=57万円×15人)の助成を受けることも可能です。
ただし、あくまでも昇給した人件費が補填される形なので、事業所として発生コストの負担軽減と考えるべきかと思います。
助成金の基本的な考え方ですが、取り組みにより発生したコストの補填が目的なので、資金調達と考えている方は後々痛い目にあうこともあります。

 

その他

年々厚労省が公開している助成金は支給条件が厳しくなっており、中々活用しにくい助成金が増えています。
そんな中で、比較的に活用しやすい助成金と言えるのは、『キャリアアップ助成金』なので、趣旨にマッチする事業所は是非ご検討ください。

 

職種別・評価基準の事例を紹介した動画公開を始めました。


3-6.商品開発スタッフ 評価基準 – YouTube
3-5.工場内スタッフ 評価基準 – YouTube
3-4.針灸マッサージ 評価基準 – YouTube
3-3.小売・店舗販売スタッフ 評価基準 – YouTube
3-2.新規開拓型営業 評価基準 – YouTube
3-1.建設業・現場管理 評価基準 – YouTube

 

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