事業承継の準備を計画的に考えている会社は正直少数の様な気がします。なぜなら、事業承継計画を作成している会社は私の知る限りではまだ少ないからです。一方、事業承継を考え始めた時に、何からすればよいかは悩みどころだと思います。今回は、事業承継を考え始めた方をメインターゲットとして、会社の現状把握の必要性を解説します。
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把握すべき内容
事業承継とは、後継者に事業を引き継ぐことですが、いつ、誰に、どうやって引き継ぐかは、個々のケースによって千差万別です。そして、事業承継に向けて、何をすべきかというと、まず会社を取り巻く現状を正確に把握することが必要です。その主な内容は、●会社の沿革の確認 ●関係者の確認 ●株主構成、株式保有割合の確認 ●株券の発行、譲渡制限の確認 ●名義株の有無の確認 ●その他資産の確認 ●財務状況の確認 が考えられます。もちらん他にも必要な内容はありますが、今回はこのあたりの内容を検証します。
会社の沿革の確認
事業承継において、会社の理念や経営方針を伝承することが重要となります。その上で、経営者が過去から現在までどのような考えで経営してきたかを振り返り、経営に対する思いや価値観、心情を再認識し、後継者は従業員と共有することは重要です。
関係者の確認
次の事業を行う上で会社の関係者(販売先・仕入先・外注先等)をどういった付き合いをしてきたかを事前に確認し、世代交代等を機会に取引が終了することないように、情報共有をしておくことは重要です。
株主構成、株式保有割合の確認
現在の株主に誰がいるのか、各株主の保有割合(=議決権割合)の現状を把握しておくことは大変優先順位が高い情報です。なぜなら、後継者がトップになったときに安定経営を実現するためには株式の保有割合を確保しておくことが重要だからです。理想は3分の2を保有できればと言われています。しかし、株式を承継する上で、株主との関係が良くない場合は、交渉に時間を要することもあります。できれば、株主名簿を準備しておく方が良いです。
株券の発行、譲渡制限の確認
平成16年改正前の商法では、株式会社をつくるとき、定款で株式を発行しないと定めない限り発行する必要がありました。平成18年に会社法が成立してからは、株式不発行が原則となりましたが、歴史ある会社では発行している場合もあります。そのときに、発行した株式を紛失している場合もありますので、確認した方が良いでしょう。また、譲渡制限株式がある場合は、株式を譲渡する場合に、株主総会等で承認をとる必要があったりします。その他、株式には様々な条件付きになっている種類もあるので、事業承継に向けた制限があるかを早い段階で確認することは重要です。
名義株の有無の確認
旧商法では、株式会社設立時に発起人が最低7人必要とされており、当時の創業者が、人数確保のために、知人に形式的な株主になってもらっている場合があります。それが名義株として現在でも残っている場合があります。しかし、株主であることには変わりないので、事業承継に向けて株式の買取りや譲渡を依頼しないといけないこともあります。また、名義株の株主が亡くなり相続している場合もあります。すんなり交渉が進めば良いのですが、高額の買取り交渉される場合もあるので、早めの対策が重要です。
その他資産の確認
株式以外の資産として、土地や建物も考えられます。中小企業の場合は、そういった資産の名義が代表者の場合もあります。その代表が引退した場合の対策や、相続になった場合には、会社と関係ない被相続人と交渉にまでなる場合もあります。こちらも早めに把握して必要な対策をすることが必要です。また、資産でありませんが、経営情報資源として、ブランド力や技能ノウハウも把握しておくべきです。特に技能ノウハウでは、特定のベテラン従業員に依存している場合もあります。後継者が円滑な事業運営に不可欠なノウハウが途切れないための対策を考えておくことは重要です。
財務状況の確認
後継者の方で、数字が苦手な方は意外に多いようです。しかし、経営者となれば、会社の財務状況や資金繰り状況を把握できるようになることは必須です。事業承継の準備の段階では、会社の財務安全性や収益性の特性をまずは把握すべきです。また、現状の借入金の額や返済見通しを把握し、事業承継までにどのような対策をとるべきかを明確にしておくべきです。その場合には、金融機関との連携も必須となります。理想は、事業承継段階で、現経営者の借入金の返済が完了しておくことですが。
その他
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